③香港
鈴木商店創業期から取引関係があったジャーディンマセソン、スワイヤーが拠点を置く
古くは"香木"の積出港であったことに由来する香港は、現在、中華人民共和国の特別行政区。19世紀後半から20世紀初頭、150年以上にわたってイギリスの植民地支配下で中国大陸と諸外国間の中継貿易港として栄えた。
「東インド会社」を前身とし、アヘンの密輸や茶のイギリス向け輸出で複合企業に成長した"ジャーディンマセソン商会"やそのライバル企業の"スワイヤーグループ"、"香港上海銀行"等イギリス系企業が香港の経済を牽引した。
鈴木商店と香港の繋がりは明治時代中期に遡る。鈴木商店の創業の原点となる砂糖(洋糖)が我国の市場に登場したのは明治初期、"香港車糖"が早く、次いで"欧州甜菜糖"、フィリピン、ジャワ糖が続いた。
香港車糖の代表的な生産者としてジャーディンマセソン商会系の"中華火車糖局"、バターフィールド&スワイヤー商会系の"太古糖房"でこの二大業者が日本に進出、鈴木商店、藤田商店の両辰巳屋が本格的な買い付けを行った。
こうした背景から鈴木商店は大正初めには香港に支店を開設している。大正2(1913)年の鈴木商店の新聞広告には、中国大陸には上海、大連と並んで香港支店が表示されている。
鈴木商店は、香港の中心地・皇后道中環(Queen's Road Central)の華人行(Chiana Bldg.)に拠点を設けた。