築別炭砿の選炭工場・貯炭場(ホッパー)
その堂々たる姿が人々を圧倒する
選炭工場は地中から揚げられた石炭に混じる不純物(ズリ)を取り除き、品質別に選別する工場である。貯炭場(ホッパー)は貨車に石炭を積み込み出荷する施設である。
築別炭砿は昭和26(1951)年頃から、満州の撫順炭鉱で採炭の第一線に立ち最先端技術を有する朝比奈敬三(後・専務取締役)以下の技術陣を中心にして、他の二山(羽幌本坑と上羽幌坑)に先行する形で合理化と技術革新を断行していった。
同炭鉱の選炭工場・貯炭場(ホッパー)もその一環であり、総工費1億8,000万円を投じ昭和34(1959)年10月に完成した。選炭工場はバウム式ジグ(*)の選炭機を備え、主選機100㌧用2基と再選炭機50㌧用1基を装備。1時間当たりの製炭能力230㌧、年間60万㌧を可能にした。
(*)ジグとは水中で上下の脈動を与えるか、網を上下動させて網上に載った石炭を比重選別する機械。圧搾空気を用いて水の上下運動を起こさせるものをバウム式ジグという。(「石炭鉱業ハンドブック」[北海道石炭対策連絡会議事務局編]より)
貯炭場は容量2,000㌧の精炭ポケット(選炭された石炭を保管しておく施設)を備 え、いずれも当時の最先端技術を結集した施設であった。
現在も道道356号線沿いの貯炭場(ホッパー)の堂々たる姿は、訪れる人々を圧倒せずにはおかない。