羽幌本坑の排気立坑
本斜坑方面の採炭区域における通気専用坑
国鉄名羽線の開通を目前に控え、羽幌鉱業所(羽幌本坑と上羽幌坑を管轄)を中心とする昭和35(1960)年からの合理化5カ年計画が策定され、その一環として昭和37(1962)年の夏に選炭工場・貯炭場(ホッパー)が、昭和40(1965)年6月には運搬立坑が完成する。
この合理化5カ年計画の第一陣として7,300万円を投じ、昭和35年6月に着手したのが羽幌本坑の排気立坑掘削工事であった。この施設の目的は、本斜坑方面の採炭区域における通気専用坑として、採掘の水平展開および深部開発を進展させることにあった。また、深部開発のガス抜き作業も並行して実施する計画であった。途中、断層に突入するなど難工事であったが、昭和36(1961)年9月に完成。
排気立坑は羽幌本坑坑口から南東におよそ1,000㍍、第二斜坑の北側すぐの道道741号線沿いに位置していた。現在、坑口は塗り固められており巨大なコンクリート塊の様相を呈している。また、坑口の向かい側3~4㍍のところには排気の動力源である110kWの主要扇風機室があり、現在も朽ちた建物跡が残されている。
現在は雑草に覆われているため、道路上からその姿を見ることはできない。