二坑本斜坑口
鉱員が切羽(採炭現場)を目指して入坑する坑口
上羽幌坑は羽幌本坑開坑の1年前、昭和22(1947)年8月に開坑し、当時は「二坑」とも呼ばれていた。
二本斜坑口は文字通り地下に向かって傾斜している、「斜坑」と呼ばれる坑道の入口である。坑道の種類としては、他に地下の炭層に向けてほぼ垂直に入って行く「立坑」(羽幌本坑の「運搬立坑」が典型的な立坑である)と、ほぼ水平に入って行く「横坑」がある。「斜坑」の坑口は必然的に地面から斜めに突き出た形になる。
二坑本斜坑は切羽に向けて、傾斜角度約18度でジグザグに長さ約1,620mの坑道が掘削され、坑内勤務者がこの坑口から出入りし良質の石炭を搬出していた。
坑口は高さ約2m、幅約2mの半円が二つ並んだ眼鏡橋のような形状が特徴であったが、昭和45(1970)年11月の閉山後にコンクリートで封鎖された。
坑口の場所は索道貯炭場や坑口浴場の南側、道道から約500mの草木が生い茂る山林の中に位置しているが令和元(2019)年5月、坑口が土砂で覆われていることが判明した。平成30(2018)年秋から翌年春までの間に坑口上部で土砂崩れが発生し、坑口が埋まったものと推測される。