⑩鈴木商店野付牛(後の北見)出張所 

鈴木商店の北見薄荷集荷の拠点

鈴木商店野付(のっけ)(うし)出張所(北海道北見国野付牛町停留場通;現在の北見市)は、母店旭川支店の先兵的な役割を果たし、薄荷の買い付け拠点として活動した。当時の北見の薄荷は、鈴木商店を含む大手5社(小林、矢沢、多勢、長岡各商店(いずれも横浜))が特定協定商人として集荷を寡占的に押さえていた。

かかる寡占状態に対抗して大正初年、地元農産物組合が外国商館のサミュエル商会と裏取引を進めたところ、協定商人の知るところとなり、買い付けの大乱戦が演じられた。このため農産物組合側はサミュエル商会に引き渡しができなくなり、訴訟問題に発展(サミュエル事件)し裁判は12年もの長きに亘った。

北見地方において薄荷が農産物の中心となったのは、明治37(1904)年以降のことである。薄荷の生産地は、網走支庁管内では、紋別、常呂両郡に集中。紋別では当時の湧別村、常呂郡では野付牛村に偏在していたことから、鈴木商店旭川支店は、買い付け拠点として湧別、野付牛に出張所を設けたものである。

  • 大正期の野付牛付近薄荷畑-1(北大付属図書館北方資料)
  • 大正期の野付牛付近薄荷畑-2(北大付属図書館北方資料)
  • 湧別薄荷畑

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