⑧川崎造船所(現・川崎重工業)(東川崎町)
松方・金子の活躍の舞台となった神戸・東川崎町
明治14(1881)年神戸・東出町に「川崎兵庫造船所」を設立した川崎正蔵は明治19(1886)年、「官営兵庫造船所」の払い下げを受けると「川崎造船所」に改称し、旧造船所を閉鎖・集約した。明治29(1896)年、「(株)川崎造船所」が設立され、川崎正蔵に請われて初代社長に松方幸次郎が就任すると、積極的に設備投資を行い、業容を急速に拡大する。
松方と金子直吉は、ともに神戸を本拠として国家的事業を推進した実業家として共通点が多く、互いに意気投合し、永く友人として親交を結んだばかりかビジネス面でも協力し合った。
川崎造船所が本拠を置いた神戸・東川崎町には、旧・みかどホテルを改修した鈴木商店が大正2(1913)年から焼失するまでの5年間本店を構えた。
現在の東川崎町には川崎製鉄、川崎重工業の工場跡地に新興再開発地の神戸ハーバーランドが建設された。川崎重工業本社等が入居する「神戸クリスタルタワー」を始め、「神戸ガスビル」、ホテル、大型商業施設が建ち並ぶ。旧・川崎造船所は、川崎重工業・神戸工場として東川崎町の一角に残り"船舶海洋カンパニー"として造船事業を引継ぐ。