⑤麗水繰綿(くりわた)工場

所在地:朝鮮全羅南道麗水郡麗水邑(現在の韓国・全羅南道(チョルラナムド)麗水市(ヨスシ))

明治以降、我国の綿織物の輸出は、中国、朝鮮、印度、関東州、満州、海峡植民地(マレー半島とその周辺諸島に保有したイギリスの植民地)など向けで、その原料・綿花については、中国、印度、アメリカからの輸入が中心であったが、やがてアメリカからの輸入が主になって行く。

一方、日本統治地時代の朝鮮では「南綿北羊政策」が採られたと云われる。これは、朝鮮南部では綿花を、北部では羊を飼って、朝鮮を当時の内地製造業の原材料供給地にしようとした政策で、綿花、羊毛の調達の多様化を図るもの。

鈴木商店も朝鮮南部の生産者から直接買い付けを行い、自社の繰綿(くりわた)工場、プレス工場、倉庫を備え、内地に移出した。麗水のほか、永同(朝鮮半島中部)、大邱(テグ)の各地に集荷・加工基地を保有した。

「繰綿工場」では、"綿繰(わたぐり)機"に架けて種と繊維を引き離す工程を行い、次に移動のために固く圧縮し、直方体の原綿の塊・"綿俵"を作る「プレス工場」、保管のための「倉庫」を備える。

関連資料

  • 鈴木商店麗水繰綿工場(工場の壁面にはサクラビールの広告が,手前の小舟には集荷した「綿花袋」が見られる)
  • 綿花収買風景

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