①北港製糖・北港製糖所(後の台湾製糖・北港糖廠)
台湾で鈴木商店単独で興した最初の製糖事業
鈴木商店が大里製糖所に次いで、台湾で興した最初の製糖工場が明治43(1910)年、嘉義庁北港街(現在の雲林県北港鎮)に建設した「北港製糖」であった。
北港製糖は、北港製糖所と月眉製糖所(台中庁月眉)の2か所の製糖工場を稼働。製糖機械は、英・独より輸入、製糖能力(日産)は、北港1,000トン、月眉250トンで操業した。
経営陣は、鈴木商店と密接な関係のある小松楠弥が社長に、常務に宮尾麟(元台湾総督府技師)、日向利兵衛(実業家)、取締役に辻湊、後藤鉄二郎(後藤回漕店)他が就任。
同社は大正4(1915)年、東洋製糖と合併、鈴木破たん後の昭和5(1930)年、再び東洋製糖は大日本製糖に吸収され、同製糖所の生産能力は、日産3,200トンに高められた。
戦後、同工場は国民政府に接収され、台湾糖業公司・北港糖廠(北港製糖所)として稼働、2005年に閉鎖された。ピーク時の生産能力は、日産4,000トンを記録し、台湾製糖会社中、第4位の規模を誇っていた。