②大日本塩業倉庫(現・安平樹屋)

九州・大里製塩工場向け粗製塩の供給拠点

日本統治以前、安平地区に次々に設立された外国商社は、日本による領台後、商権を失って撤退。このうちイギリス系「徳記洋行」は、当地に進出した「大日本塩業・安平出張所」の事務所兼倉庫として転用された。                                   

鈴木商店は、台湾総督府専売局より台湾塩の移入取扱人および内地販売の特別元売捌人に指定された傘下の大日本塩業を塩の集積地・台南に進出させ、同社は塩田の開発、集荷の拠点として設置した安平出張所の倉庫を活用し、九州・大里の再生塩工場向けに移出した。

安平地区には、大日本塩業のほか総督府専売局・安平分室、台湾製塩(株)、南日本化学工業(株)(ソーダ事業)が進出し、一大製塩事業の拠点として発展した。

終戦後、国民政府に接収された台湾製塩は、「台湾製塩総廠」として大日本塩業倉庫を所有したが、事務所が移転したため、同倉庫は荒れ果てたまま放置された。

その後、台南市政府により同施設の保存が決まり、改修・整備を進め、順次公開を開始して平成27(2015)年、現在の「安平樹屋」としてオープンした。(台南市安平区古堡街108号) 安平樹屋に残る大日本塩業の倉庫は、ガジュマルの樹木に覆い尽くされ、浸食されて飲み込まれる異様な光景が見られ、観光スポットとして人気を集めている。

◎企業特集>塩業

関連資料

  • 大日本塩業安平出張所の倉庫跡
  • 安平樹屋内の説明板(大日本塩業の社名が見える)
  • 安平地区の製糖会社地図

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