澁谷義雄

鈴木商店の油脂事業のエキスパートから転身して「澁谷油脂」を独立創業

生年 明治27(1894)年
没年 昭和54(1979)年

兵庫県出石郡資母村(現在の出石郡但東町)出身。
兵庫県立神戸商業(県商)卒業後、鈴木商店に入社。
香港、青島、浦塩(現在のウラジオストク)各海外支店で一貫して油脂取引に携わった。
金子直吉の持論でもある生産事業への進出の夢を抱いた澁谷は、金子の助言を得て大正13(1924)年、独立して澁谷油脂有限会社を創業。

創業当初は、主に植物油脂の売買を行い、後に石鹸工場を設け固形石鹸、粉末石鹸の製造を開始した。さらに昭和12(1937)年、鈴木商店時代に取り扱っていた念願の食用油の製造にも進出。

天然油脂の安全性に着目し、天然油脂を釜で焚く(釜焚き製法)「釜焚き石鹸」にこだわる澁谷の本物の石鹸への思いは、現在の澁谷油脂株式会社に受け継がれている。

澁谷は口癖のように「みんなが花見をする桜を見に行くな。裏山に本当の桜が咲いている」と話したという。また、澁谷油脂創業のきっかけは金子直吉の助言でもあったことから、金子のおかげで金融恐慌に巻き込まれずに済んだとして、澁谷は亡くなるまで金子直吉や鈴木商店関係者の墓参りは欠かさなかったという。

澁谷は、独立後も鈴木時代の同僚、先輩との交友関係を大事にし、大屋晋三、永井幸太郎等との関係は終生続いていた。

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