生年　明治6(1873)年
没年　昭和21(1946)年

青森県弘前市にて、武将明石全登の末裔で津軽藩士の父明石永吉、母ともの次男として生まれる。5歳のときに、親戚の藤田正三郎の養子となり、藤田姓を名乗る。東奥義塾を中退、明治24(1891)年に上京し、明治法律学校（現在の明治大学）に入学。法学博士・熊野敬三の書生になる。同校を卒業し、大蔵省（現在の財務省）に入省。

明治34(1901)年に大蔵省を辞し、翌明治35(1902)年、岩谷商会の支配人となる。個人商店だった岩谷商会を会社組織化し、専務理事となった。明治37(1904)年の専売制実施の際、政府による同社の買収金額を莫大なものとした。

明治42(1909)年5月に東洋塩業に入社、取締役となり再建に尽力、翌明治43(1910)年には同社を台湾塩業と改称、専務取締役に就任するも同社を経営する小栗家が破綻し、台湾塩業は鈴木系の大日本塩業に吸収される。藤田は鈴木商店顧問に迎えられ、大日本塩業の社長に起用された。金子直吉にその手腕を買われたばかりか、後藤新平の信頼を得て「後藤四天王の一人」とも呼ばれた。

大正元(1912)年9月10日、映画会社4社統合による日活設立の音頭をとり、のちに同社の社長となるほか、後藤新平を介して知り合った堤康次郎に招かれ千ヶ滝遊園地、箱根土地（後の西武グループの中核・国土計画（コクド））の社長に就任、東京毛織専務取締役、そのほか、多くの会社の代表や取締役を歴任、晩年は育英事業を手がけるべく、東京に藤田育英社を創立する。

大正15(1926)年、53歳のとき、藤山雷太、指田義雄に次いで東京商業会議所の第3代会頭となる。昭和3(1928)年、55歳のとき、日本商工会議所の初代会頭に就任、同年4月4日、勅撰を受け貴族院議員となる。昭和4(1929)年11月6日、売勲事件で賞勲局総裁天岡直嘉に5,000円を贈ったとして召喚収容されるが、即日釈放される。昭和10(1935)年9月28日、大審院で上告が棄却され、藤田に懲役3月（執行猶予3年）の判決が確定する。同年10月4日、貴族院を除名となり、政界を引退する。