日比(岡山・玉野市)
古くは北前船の寄港地として栄え、近年は四国や瀬戸内の離島を結ぶ要港・宇野港を擁す
岡山県南部、玉野市の一地区、児島(こじま)半島南岸の旧日比町(現在の玉野市日比)は、古くから“北前船“の寄港地で瀬戸内海の要港として栄え、かつては商家や遊郭が建ち並び、近世には日比港は瀬戸内海航路の風待ち港、潮待ち港として繁栄した。
明治26(1893)年地元実業家により設立された日比製錬所は、大正4(1915)年鈴木商店が買収し、鈴木商店系の日本金属・日比製錬所(大正5(1916)年)を経て、現在三井金属鉱業による新生「日比製煉」として操業されている。
昭和15(1940)年児島郡宇野町と日比町が合併し、市制施行され玉野市が発足、人口約 55,000人(2022年1月現在)。市名は、日比町の人口的・経済的中心地となっていた玉地区の「玉」と、宇野町の「野」を組み合わせて命名された。
宇野港より香川県高松市を結ぶ宇高連絡船(日本国有鉄道→四国旅客鉄道)や宇高航路のカーフェリーが運航され、四国への玄関口として栄えたが、現在はいずれも運航は廃止された。「宇高航路」と呼ばれ109年にわたり運航されてきた宇野~高松航路が、事実上その歴史に幕を閉じることになった。