米沢市にて「帝人100周年記念イベント」が開催されました。

2018.10.7.

P10801682.JPGこの度、帝人創業の地である山形県米沢市に関係者が参集し、同社100周年を記念したイベントが開催されましたのでご紹介します。(冒頭の写真は、イベント会場となった伝国(でんこく)(もり)置賜(おきたま)文化ホール」です)

鈴木商店は傘下の(あずま)工業(「鈴木商店の化学部門への進出の門戸」とも称された(あずま)レザーを前身とする)から人絹部門である米沢工場を独立させるべく大正5(1916)年5月5日、「東工業分工場米沢人造絹糸製造所」の操業を開始し、大正7(1918)年6月17日には「帝国人造絹糸株式会社」(現・帝人)の創立総会を開きました。(この大正7年6月17日が帝人の設立日とされています) 

hatatokumura.PNG本社は東工業本社内(大阪府西成郡稗島村字赤須)に置き、社長には鈴木岩蔵、専務には佐藤法潤と松島誠、取締役には久村(くむら)(せい)()(上の写真左)と秦逸三(はたいつぞう)(同右)、監査役には西川文蔵、松田茂太郎らが就任。経営の実際の責任者は松島誠、技師長は久村清太。米沢工場の運営は、工場長・長本庄利平、技師長・秦逸三という体制でのスタートでした。

米沢市は米沢藩中興の名君・上杉鷹山(ようざん)(上杉家第10代当主、米沢藩第9代藩主)が入部して250年の記念の年を来年に控え、今年は戊辰(ぼしん)戦争から150年、上杉家の家老・直江兼続の没400回忌に加え、帝人が創業100周年を迎える記念すべき年に当たることから、8月から11月まで「上杉メモリアルフェスタ」を開催中です。「帝人100周年記念イベント」は、このフェスタの関連事業の柱の一つとして開催されたものです。

当記念館からは金子直三編集委員が小林正幸双日広報部専門部長、演劇集団 LiveUpCapsulesを主宰する脚本・演出家の村田裕子氏とともに参加しました。

【帝人100周年記念イベントの概要】
日 時
平成30年9月29日(土) 午前10:15~16:00

場 所
・「人繊工業発祥之地」石碑前(御成山(おなりやま)公園内)
・「秦逸三教授記念展示室」(旧米沢高等工業学校本館[現・山形大学工学部]内)
伝国(でんこく)(もり)置賜(おきたま)文化ホール」(米沢市丸の内一丁目2番1号)

主 催
・帝人
・未来せんいプロジェクト実行委員会

各イベントについて
① 10:15~10:45 帝人100周年「碑前祭」

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鈴木純帝人代表取締役社長執行役員、日光信二帝人フロンティア代表取締役社長執行役員をはじめとする同社関係者20数名、中川勝米沢市長、小山清人山形大学学長をはじめとする地元関係者20数名が御成山公園の「人繊工業発祥之地石碑」前に参集し、帝人100周年を記念する神事・「碑前祭」が厳粛に執り行われました。

② 11:15~12:00 帝人関係者、地元関係者による「秦逸三教授記念展示室」見学

kyuuyonezawakoutoukougyougakouhonnkan.PNG碑前祭を終えられた帝人関係者、地元関係者は、秦逸三が苦難・苦闘の研究の末にわが国初の人造絹糸(レーヨン)の工業化に成功した旧米沢高等工業学校本館(上の写真)(*)内に設けられた「秦逸三教授記念展示室」を見学されました。

P10800542.JPG(*)旧米沢高等工業学校本館の建物は明治43(1910)年7月に竣工したルネッサンス様式を基調とする木造2階建で、山形大学が所有しており、昭和48(1973)年に国の重要文化財に指定されました。現在は資料館として一般に公開され、2階には「秦逸三教授記念展示室」(上の写真右は米沢工場初期の人造絹糸)が設けられています。

③ 13:30~16:00 各種催し(於:伝国(でんこく)(もり)置賜(おきたま)文化ホール」)
オープニングに先立ち、会場前のロビーでは帝人の商品を紹介するワークショップが開かれ、小学生により吹奏楽が演奏されるなど会場の雰囲気は次第に盛り上がっていきました。また、参加者全員には「世界の帝人、節目の100年」の大見出しが付された米澤新聞特別号、「帝人100周年記念米沢イベント」を紹介するリーフレット、赤の文字で "ありがとう ヨネザワ。ツクロウ 次の100年 TEIJIN" と記された布製の手提げ袋が配られました。

・ 13:30~13:40 オープニング(鈴木純帝人代表取締役社長執行役員[下の写真左]、中川勝米沢市長[同右]によるご挨拶)

P1080174.JPG・ 13:40~14:35 記念講演(講師:城戸淳二山形大学大学院理工学研究科卓越研究教授、演題「挑戦と創造の町 米沢」)

P1080180.JPG城戸教授は平成5(1993)年に世界で初めて白色有機エレクトロルミネッセンス(白色有機EL)の開発に成功。その後の製品化の道を切り開き、大型化・多方面への応用なども提唱された有機ELの権威として知られています。

講演では科学技術を駆使した産業の育成を米沢発展の基礎に位置付けるとともに、市民一人一人が何らかの明確な目標を定めて邁進することを提言されました。


・ 14:50~15:20 ミュージカル「Faith」(30分のSHORT VERSION)

P10801982.JPG"よねざわ市民ミュージカル「伝国座」"により、米沢高等工業学校教授の秦逸三が強い信念(Faith)を持ってビスコースレーヨン製造の研究に心血を注ぎ、わが国初の人造絹糸(レーヨン)を発明するまでの苦難の実話をもとに構成されたミュージカル「Faith」が30分バーション(通常は120分)で演じられました。

今夏、金子直吉を中心とする鈴木商店の熱き男たちの人生を描いた舞台「彼の男 十字路の身を置かんとす」の公演が7月4日(水)から15日(日)まで下北沢(東京都世田谷区)の小劇場「楽園」において行われ、大好評のうちに終了しました。

この度は、この「彼の男」の舞台の作・演出を手がけられました演劇集団 LiveUpCapsulesを主宰する脚本・演出家の村田裕子氏が同行されたことを受け、「Faith」の公演に先立ち、平成22(2010)年の初演より「伝国座」公演のプロデュースを手がけておられる有限会社純クリエイション・SCSミュージカル研究所の代表取締役・廣瀬純氏、同社取締役・SCS主宰兼芸術監督で演出・振付ご担当の梶賀(かじか)千鶴子氏らと面談し、情報交換をさせていただきました。

・ 15:20~15:50 「未来せんいアワード」受賞発式

P10802472.JPG帝人、米沢市、米沢繊維協議会がタイアップし、米沢織に代表される繊維業の町・米沢の技術力や歴史等をアピールし、米沢の繊維産業の健全な発展をはかり、米沢産地の将来を切り開いていくことを目的として、未来の繊維やファッションをテーマに、テキスタイル・製品の各部門において作品を募集し(テキスタイル部門の応募総数148点、製品部門の応募総数74点)、審査の結果受賞された方々の授賞式が行われました。あわせて、小学校4~6年生を対象にした「未来の服」に関する絵画コンクール(応募総数289点)の授賞式も行われました。

・ 15:50~16:00 クロージング(日光信二帝人フロンティア代表取締役社長執行役員によるご挨拶)

会場の伝国の杜「置賜文化ホール」(500名収容)をほぼ埋めつくした参加者は各催しを熱心に聞き入り、見入り、大盛況のうちに終了しました。各イベントを通じ、改めて帝人株式会社の創業の地・米沢に対する感謝の思い、帝人と米沢両者の長い歴史と強い絆を再認識しました。また地元の繊維産業の認知度向上にも大いに寄与する催しであったとの印象を深くし、帰路につかれました。

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