「鈴木商店創業150年および鈴木商店記念館開設10周年の集い」(東京)を開催しました。
2024.7.26.
本年、鈴木商店は創業から150年を数え、また「鈴木商店記念館」は平成26(2014)年4月1日の開設から10周年を迎えました。
この度、当記念館の更なる発展と鈴木商店の再評価を願い、東京を中心とする関係者をお招きして「鈴木商店創業150年および鈴木商店記念館開設10周年の集い」(講演会と懇親会)を開催しました。(左の写真は、講演会会場の「日比谷コンベンションホール」が地下1階にある「日比谷図書文化館」です)
【講演会の概要】
■日時: 令和6(2024)年7月19日(金) 17時~18時40分
■場所: 日比谷図書文化館 地下1階 「日比谷コンベンションホール」(大ホール)
■主催: 辰巳会 鈴木商店記念館
■参加者: 東京を中心とする当記念館の関係者、協賛企業の皆様、鈴木商店と関係の深い方々 約90名
■プログラム:・開会の辞 辰巳会 鈴木商店記念館代表 鈴木 一誠 (太陽鉱工株式会社 取締役会長)
・基調講演 「祝10周年 記念館開館以降の新発見、そして広がる輪」
講師: 双日株式会社 広報・IR・サステナビリティ推進担当本部長席 小林 正幸
(鈴木商店記念館発起人、特別協力者)
・一般講演(1) 「鈴木商店記念館の歩み」
講師: 鈴木商店記念館 編集副委員長 金子 直三
・一般講演(2) 「幻の総合商社『鈴木商店』誕生」
講師: 鈴木商店記念館 編集委員長 小宮 由次
・一般講演(3) 「舞台『彼の男 十字路に身を置かんとす』の公演秘話」
講師: 劇団「LiveUpCapsules」主宰(脚本家・演出家) 村田 裕子
・閉会の辞 鈴木商店記念館 編集委員長 小宮 由次
・司会進行 鈴木商店記念館事務局 岩井 伸仁(太陽鉱工株式会社 総務部 部長)
【懇親会】
■日時: 同日 19時~21時
■場所: 日比谷図書文化館内「PRONTO ライブラリーダイニング日比谷店」
■参加者: 約70名
<開会の辞>(鈴木商店記念館代表 鈴木 一誠)
鈴木商店は昭和2(1927)年に経営破綻したが、かつての鈴木商店の社員の方々が親睦をはかるため、昭和35(1960)年に高畑誠一氏を会長として「辰巳会」が設立された。
鈴木商店に関する資料、また鈴木商店への再評価の思いから平成26(2014)年4月1日、「鈴木商店記念館」が辰巳会内の組織としてウェブサイト上に開設され、現在までのアクセス数の累計は154万件余りとなり、サイト内の資料・情報も年々充実の度を増している。
鈴木商店は私の曾祖父、初代鈴木岩治郎が雇われていた辰巳屋 松原恒七商店の神戸出張所が出発点であり、150年前の明治7(1874)年に辰巳屋の暖簾分けを受け、当時の内海岸通四丁目、今日の栄町通4丁目に鈴木商店を創業した。なお、この創業の地に記念碑を作ってはどうかということを皆さんと考えて行きたいと思っている。
以上、鈴木商店のルーツおよび「鈴木商店記念館」開設の経緯を顧みるとともに「総合商社鈴木商店」を広くご認識いただける「辰巳会 鈴木商店記念館」として引続きご支援を賜りたいとし、開会のご挨拶とされました。
<各講演の内容>
● 基調講演 「祝10周年 記念館開館以降の新発見、そして広がる輪」(講師: 小林 正幸)
・まず、鈴木商店記念館(以下、「記念館」)開設の経緯を説明された。
・記念館とともに起きた奇跡 ‥‥ 記念館開設直後の平成26(2014)年5月9日、読売テレビが(開局55年記念特別番組の)「お家さん」(天海祐希主演)を放映。(視聴率23%)⇒ 記念館へのアクセス数が急増しパンク状態に。これに先立つ同年2月、兵庫県立ピッコロ劇団が「お家さん」(竹下景子客演)を公演。ヤフーニュースにも掲載(「幻の総合商社 鈴木商店に脚光」)、 日本経済新聞の文化欄にも掲載(「伝説の商社の残党を追う」)された。令和元(2019)年5月~6月、吉本興業が「お家さん」(竹下景子主演)を再演。
・記念館の効果 ➀ ‥‥ アクセス数(=来場者数)150万人、仮に入場料1,000円とすると売上高は15億円に上る。
・記念館の効果 ② ‥‥ デジタルアーカイブの先駆け(全国から、幅広い顧客が来館した)
・記念館の意義 ‥‥ 鈴木商店の「旗」を社会に向けて掲げた。記念館は公共物として社会と共有。
・記念館の意義(お問い合わせ機能の効果)‥‥ お宝情報(鈴木よねの和歌が記された「長角黒蝋金塗進物盆」、「みかどホテル」新館の鮮明な写真、鈴木ちよ直筆の書道半紙等)、メディアからの問い合わせも多数。記念館の仲間が増えた。
・記念館の立ち上げ時と今 ‥‥ 当初、協賛企業4社 ⇒ 現在35社
・鈴木商店の歴史的価値(魔力➀)‥‥ 伝説性、悲劇性、人物伝(よね、金子、高畑)、鈴木商店の歴史は日本の財産=公共公益性、現存する鈴木商店ゆかりの企業多数(現在にまで続く物語)。
・鈴木商店の歴史的価値(魔力②)‥‥ 全国に現存する鈴木時代の建物、鈴木ファン、研究者。地方活性化のコンテンツになり得る。鈴木商店を盛り上げることが鈴木ゆかりの企業の企業価値向上&地方活性化に繋がる。
・記念館の転機 ‥‥ デジタルアーカイブから社会活動へ(「鈴木商店シンポジウム」開催、「鈴木商店モニュメント」建立、全国各地での鈴木ゆかりのイベント [金子直吉翁 たたえる祭り、帝人100周年記念イベント、高畑誠一顕彰イベント、羽幌炭砿閉山閉山45年イベント等] への参加)、神戸新聞社の連載「遥かな海路 巨大商社・鈴木商店が残したもの」への協力。
・双日 × 記念館 ‥‥ 令和5(2023)年4月の舞台公演「彼の男 十字路に身を置かんとす」、歴史マンガ「総合商社 双日 未来を創造した先駆者たち」(1巻~6巻)発行。
・双日内で出て来た言葉 ‥‥ 「事業や人材を創造し続ける総合商社」(2030年のあり姿)、「発想を実現する総合商社(ハッソウジツ)」、「スピード」「イノベーション」「現場力」 以上、いずれも鈴木商店に結びつく言葉である。
・ダイバーシティ「多様性を競争力に」‥‥ 鈴木商店は人材のおもちゃ箱。ダイバーシティの本質は鈴木商店にあり。 鈴木よねを筆頭に家族的雰囲気があった。金子直吉らに権限移譲、任せる社風であった。心理的安全性の4つの要素「新奇歓迎」「話しやすさ」「挑戦」「助け合い」があった。 金子直吉はその人の持つFACTのみを重視し、奇人・変人を好んで集めた(アンコンシャスバイアス)。
・旅は終わらない ‥‥ 10年経ってみて、鈴木商店は当初思っていたより凄い会社ということが分かってきた。記念館の活動はさらに広がり、今後の10年ではもっと鈴木商店の姿(詳細)が分かって来ると思う。
・新たな挑戦 ‥‥ 神戸開港160年において鈴木商店創業の地(栄町通4丁目)にモニュメントをつくりたい。令和7(2025)年に講談「鈴木商店 知られざるその後」(仮題)を披露予定。
● 一般講演(1) 「鈴木商店記念館の歩み」(講師: 鈴木商店記念館 金子 直三)
これまでの記念館へのアクセス数、サイト内各ページの説明、ゆかりの各地の取材、鈴木商店関連イベントへの参加、神戸市主催の神戸開港記念事業・講演会・勉強会・シンポジウム等への協力、神戸新聞の連載への協力、「鈴木商店モニュメント」の建立、舞台公演への支援など平成26(2014)年4月の記念館の(インターネット上への)開設から今日に至るまでの10年間の歩みについてご紹介しました。
● 一般講演(2) 「幻の総合商社『鈴木商店』誕生」(講師: 鈴木商店記念館 小宮 由次)
鈴木岩治郎の生い立ちとその家系、長崎・下関での菓子修行、辰巳屋 松原商店(店主・松原恒七)が神戸・弁天浜に神戸出張所を設けたが、ほどなく第二波止場(後・国産波止場)の角(後の"内海岸通四丁目")に店を移したこと、岩治郎は松原商店の神戸出張所に雇われ、後に宗家「辰巳屋」の暖簾を引き継ぎ、内海岸通四丁目(現・栄町通4丁目)に鈴木商店を創業したこと、この度諸資料を検証した結果、鈴木商店の創業地がこの "栄町通4丁目" であることを特定できたことなどをご紹介しました。
● 一般講演(3) 「舞台『彼の男 十字路に身を置かんとす』の公演秘話」(講師: 村田 裕子)
舞台「彼の男」の再演は当初令和2(2020)年4月を予定していたが、新型コロナ第1波のため中止せざるを得なかったこと、舞台セットの作成や焼き打ちのシーンで使用する"大量の紙"を作る際の苦労話、舞台稽古の様子、スタッフの皆様、役者の皆様、協賛各社の皆様のお陰で舞台公演が実現出来たこと、来月8月21日(水)~25日(日)に東京都北区の「北とぴあ ペガサスホール」にて再演される舞台「見晴らす丘の紳士」の主人公は渋沢 栄一であるが、この舞台ではまた金子直吉に会えることなど舞台公演の数々の裏話を中心にご紹介いただきました。
<閉会の辞>(鈴木商店記念館 編集委員長 小宮 由次)
本日の講演会により鈴木商店に対し皆様にご理解、あるいは再認識をいただけたなら幸いであり、この上ない喜びである。鈴木商店に関する情報、実状はまだつかめておらず、日々新たな情報・事実が判明している。
最後に、今後も鈴木商店に関する更なる情報・事実を発信してまいりますので、今後も「鈴木商店記念館」に何度もご来館いただき、アクセスいただいて我々と新たな事実を共有していただければ幸いですとし、閉会のご挨拶としました。
<懇親会>
懇親会も記念館事務局・岩井伸仁氏の司会により始まり、冒頭で元神戸製鋼所社長・会長の熊本 昌弘様よりご挨拶・乾杯のご発声をいただきました。なお、乾杯の際のビール(72缶)はサッポロビール様のご好意によりご提供いただきました。
ご歓談の後、双日代表取締役社長の植村 幸祐様、神戸製鋼所代表取締役副社長執行役員の永良 哉様、羽幌炭砿ファンクラブの菊地 瞳様と三浦 義之様(下の写真)よりご挨拶をいただきました。なお、北海道羽幌町では、来年9月に「羽幌炭砿閉山55年記念イベント」が開催される予定です。
続いて、記念館より次の鈴木商店の関係者・社員のご親族の方をご紹介させていただきました。
松原 健二様(松原恒七のご親族のご親族)、金子 直道様(金子直吉のお孫様)、西川 泰様(西川文蔵のお孫様・西川政一のご二男)、吉田 尚様(吉田 秀太郎のご親族)、上村 昌明様・晃二様(上村政吉のご親族)、堀井 栄美子様(金光庸夫のご親族)、武岡 豊彦様・喜久子様(武岡忠夫のご親族)
松原恒七のご親族の松原 健二様の "中締め" の後、懇親会はお開きになりましたが、参加者の皆様は鈴木商店という同じ傘の下で情報交換され、また昔話に花を咲かせるなど交流の輪が広がり、楽しく有意義なひと時となりました。