辰巳会・会報「たつみ」シリーズ㉟「たつみ第35号」をご紹介します。

2022.4.10.

たつみ第35号表紙.png「たつみ第35号」は、昭和56(1981)年7月1日に発行されました。本号は、本年4月に開催された舞台公演「海鳴りやまず」に関する記事、投稿一色に溢れています。同公演が鈴木商店OBである辰巳会会員にとっては如何に感動的な出来事だったかが想像されます。辰巳会挙げて同公演を応援し、楽しんだかが随所に記されています。(「観劇例会の記」)

 また、「海鳴りやまず」の感動の余韻が未だ冷めやらぬ5月13日、神戸ポートピアホテルに118名の会員が集い、盛大に辰巳会全国大会が開かれました。

◇「落慶に寄せて」柳田義一

 鈴木商店ゆかりの神戸篠原町・祥龍寺(禅・臨済宗妙心寺派) は、明治初年に廃寺となっていたところ昭和2(1927)年、鈴木よねの寄進により再建され、その後同寺境内にはよね刀自の胸像、鈴木商店関係者の頌徳碑や辰巳会供養塔等が建立された。

 再建から50年の歳月を重ね本殿大屋根修復の時期を迎え、祥龍寺の再びの要請を受け、修復委員長を引き受けたよね刀自の孫・鈴木治雄(太陽鉱工社長)の尽力により旧鈴木系企業、辰巳会会員などの協賛により昭和56(1981)年4月、修復工事が無事完了した。(詳細は、下記の関連リンクをご覧ください。)

◇"海鳴りやまず"の周辺

 神戸博覧会「ポートピア'81」の協賛事業として本年4月に公演された舞台「海鳴りやまず」に関わった関係者にスポットを当て、その舞台化の背景を紹介している。(詳細は、下記の関連リンクをご覧ください。) 

  〇「総合商社のロマンを初めて舞台にのせる」伊藤邦輔 (毎日新聞インタビュー記事)

   「海鳴りやまず」の劇化を進め、大阪梅田コマ劇場での公演を実現した伊藤邦輔氏(梅田コマスタジアム社長)に対する毎日新聞(大阪)のインタビューが同紙コラム「人」に紹介されている。

 自身も脚本を書く伊藤氏は、神戸を舞台にした劇が今まで無いことから、"自分なりの関西文化復権の試み"として鈴木商店とそれを支えた人々を"総合商社のロマン"として表現したと語っている。 

  〇「作者のことば」花登筺

 「海鳴りやまず」の脚本・演出を担った筆者が、その作者として同作品に表現したのは、お家さんと奉公人としての金子直吉との主従関係における金子の精神だと云う。何の私欲も持たず、ひたすらお家さんの為と鈴木商店を"世界のスズキ"に発展させた金子をロマンの商人だったと評する。 

  〇「鈴木商店を支えた人々」柳田義一

 金子直吉と共に鈴木商店の創業期を築いた柳田富士松の長男の筆者が、父・富士松と金子は共に鈴木商店に忠誠を誓い、車の両輪として如何に鈴木商店の発展に尽くしたか、また両者が互いを信頼して鈴木に尽くしたかを冷静に分析する。 

◇「鈴木商店と金子直吉」桂芳男

 「総合商社の源流 鈴木商店」の著者で、神戸大学教授の筆者が、鈴木商店の空前の発展から破綻に至る歴史を振り返る。金子直吉の才覚で鈴木商店を大正期を代表するビッグ・ビジネスに急成長させたが、経営に綻びが生じて遂に鈴木の破綻に際しても二代目岩治郎とよねは、金子と鈴木の運命を共にする決断を下した。

 鈴木崩壊の華麗さと史上類例を見ないはかなさがあったと述懐する。(詳細は、下記の関連リンクをご覧ください。) 

◇マスコミに載った"海鳴りやまず"

 4月2日から4月28日の予定で開幕された舞台公演「海鳴りやまず」は、客足も良く連日満席になる程の好調を記録した。同公演に関するマスコミの関心も高く、新聞紙上でも大きく取り上げられた。(詳細は、下記の関連リンクをご覧ください。)

  〇座談会「黄金の男たちのロマン」(神戸新聞)

   舞台公演の開幕に先立ち、神戸新聞主催の座談会が開かれ、主催者側より花登筺(作・演出)、伊藤邦輔(製作・梅田コマスタジアム社長)、辰巳会より鈴木治雄(よねの孫、太陽鉱工社長)、柳田義一(柳田富士松の長男)を始め辰巳会会員が参加し、"黄金の男たちのロマン"を語り合った。

  〇「港商人の一時代を活写」(大阪朝日新聞)

   花登筺の作・演出により"港商人の歩み"を主従の人間的結びつきから辿った。配役の月丘夢路(鈴木よね)と藤岡琢也(金子直吉)を中心に一人ひとりの人物像が明らかに描かれており、殊の外月丘の演技が光った。     

◇「鈴木よね(1)」荒井とみよ

 「たつみ誌第34号」に紹介された「近代日本の女性史」(昭和56(1981)年、集英社より出版)の第6巻には、"事業への理想と情熱"と題し、6人の女性事業家が紹介されている。筆者が執筆した 「鈴木よね」を本誌ではシリーズで掲載する。第1回目は、鈴木商店の創業期から躍進までを鈴木よねを中心に描いている。(詳細は、下記の関連リンクをご覧ください。)

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