辰巳会・会報「たつみ」シリーズ(69)「たつみ第69号」をご紹介します。
2024.12.30.
「たつみ第69号」は、平成18(2006)年1月15日に発行されました。
◇神戸製鋼所百年を迎える
平成17(2005)年9月1日、神戸製鋼所は創業100周年を迎え、神戸ポートピアホテルにて「百周年記念パーティ」が開かれた。
神戸製鋼所は、 明治44(1911)年の株式会社化に先立つ明治38(1905)年、鈴木商店による小林製鋼所の買収とそれに伴い「神戸製鋼所」に改称した年をその創業年としている。
創業百周年パーティーには、辰巳会会長の鈴木治雄氏が鈴木商店創業者所縁の一人として招待された。
鉄鋼事業を始め、銅、アルミ、機械事業を擁する巨大企業に発展した神戸製鋼所は、近年電力供給事業にも参入し、創業以来の「モノづくり」の姿勢が期待されている。(詳細は、関連リンクをご覧ください。)
◇随筆「懐古50年」石谷金治郎著
大正6(1917)年3月、鈴木商店に入社した筆者(神戸高商出身)が残した「懐古50年」と題する回顧録のうち、1."金子直吉翁の思い出" 2."治外法権下の金子さん"と題する2点の随筆を紹介している。
「金子直吉翁の思い出」のうち(その一)"米と金子さん"では、入社間もない大正7(1918)年、外国電信に携わっていた時代から金子直吉には身近に接し、第一次世界大戦後の反動不況により米価暴落し深刻な社会情勢となった際、金子直吉が時の政府に協力しその対策に苦心したこと、(その二)"サクラビールと金子さん"では、第一次世界大戦終盤、西川支配人よりハンブルグ赴任を命じられるも戦況から一時待機となり、その間下関の鈴木商店経営の各工場の見学を指示された。たまたま焼酎工場に筆者の先輩がおり、金子直吉の発案で始まったサクラビールについて詳しく案内して貰った。
「治外法権下の金子さん」では、鈴木商店創業期に治外法権下にあった外国人居留地商館との取引に関し、取引先の商館が経営破綻し本国に引き揚げることを知った金子直吉が、売り渡した大量の樟脳代金が未回収にあったため、外銀(香港上海銀行)の担保として倉庫に差し押さえられていた商品を鈴木が差し押さえるという前代未聞の事件に発展したことを金子自身から聞いたエピソードを紹介している。(詳細は、下記の関連トピックスをご覧ください。)
◇「金子直吉の鉱山業への野望」須藤欽吾
我国の財閥が鉱山業を基盤として総合的な企業として発展したことから、鉱山業を欠いたことが鈴木商店の破綻の一因とする説があるようだ。
東北大学出身で在学中、亜鉛の学術研究で著名な教授の指導を受けた 筆者が、金子直吉は非鉄金属製錬事業に対して殊の外強い関心を持っていたと述懐する。
金子は、亜鉛の調査研究のため社員を欧米に派遣し、大正元(1912)年直営「大里製錬所」を建設したのを皮切りに「徳山製錬所」、「日本金属・彦島製錬所」に至る一大亜鉛製錬工場に発展した他、銅製錬事業についても大正4(1914)年、岡山県に「日比製錬所」を 建設し、鉱山業の下流でもある金属製錬事業に残した多くの実績は評価される。(詳細は、下記の関連リンクをご覧ください。)
◇「鈴木商店と帝人」間室四郎
"一粒の麦"の言葉から始まる帝人の社史は、昭和43(1968)年創立50周年を記念して刊行された。筆者は、同社史を通して鈴木商店と帝人の歩みを振り返る。
世界で初めて人絹糸がフランスで生産されて僅か1年後の明治25(1892)年、金子直吉が居留地商館で人絹糸に出会って以来、金子は人絹糸に並々ならぬ関心を抱いた。この金子の意欲が人絹糸の企業化を決意し、帝人の誕生に繋がったと見る。金子の遺伝子を帝人に引き継いだのが大屋晋三と評する。大屋は、ポリエステル繊維(テトロン事業)の成功の余勢を駆って石油開発事業を中核とする総合化学会社の実現の夢に挑んだが果たせずに亡くなった。(詳細は、下記の関連トピックスをご覧ください。)
◇「神戸の思い出」今村三郎
大正9(1920)年、鈴木商店に入社し鉄材部に所属し、鈴木破綻後タタ銑鉄の商権を守った今井頼吉の子息の筆者は、度々たつみ誌に投稿している。「たつみ第63号」に続いて同氏と神戸ならびに鈴木商店との縁を回想している。神戸で育ち、父親を介して鈴木商店の幹部と知遇を得たばかりか、自身も鈴木商店と所縁の"日新火災海上保険"に籍を置いているが、終始神戸との不思議な結びつきを感じて来た。(詳細は、関連トピックスをご覧ください。)
◇辰巳会だより
〇全国大会(平成17年5月19日)於神戸メリケンパーク オリエンタルホテル 参加者30名
〇本部新年例会(平成17年1月19日)於神戸・第一樓 参加者24名
〇本部秋季例会(平成17年10月24日) 於北野ガーデン 参加者28名
〇東京支部新年例会(平成17年1月20日) 於東京ステーションホテル 参加者11名
〇東京支部春の例会(平成17年6月9日) 於帝国ホテル"レセゾン" 参加者13名
〇東京支部秋の例会(平成17年10月20日) 於ざくろ京橋店 参加者12名
(詳細は、関連トピックスをご覧ください。)
◇辰巳会会員だより (詳細は、関連トピックスをご覧ください。)