辰巳会・会報「たつみ」シリーズ(71)「たつみ第71号」をご紹介します。
2025.4.16.
「たつみ第71号」は、平成20(2008)年3月12日に発行されました。前年の平成19(2007)年は、お家さん・鈴木よね(嘉永5(1852)年8月~昭和13(1938)年5月)の没後70年ならびに生誕155年に当たることから辰巳会全国大会では、神戸・生田神社に於いて「鈴木よね刀自70年霊祭」を執り行いました。本号では、全国大会の報告とお家さんにまつわる特集記事が掲載されています。
◇鈴木よね刀自没70年資料特集 (たつみ第71号)
お家さん・鈴木よねは、和歌、俳句のみならず茶道、小鼓、生花、骨董などに造詣が深かったがいずれも若き日よりその道の第一人者に師事し、取り分け和歌、俳句は高く評価される。(詳細は、下記の関連リンクをご覧ください。)
(1)よね刀自直筆和歌
和歌については、明治34年頃より藤村叡雲に、後に木村忠彦、大正12年頃より亡くなる直前まで西宮神社祠掌・吉井良秀に師事。直筆の短冊の作品を紹介している。
(2)鈴木よね和歌俳句集「波の音」より
鈴木よね生前の昭和3(1928)年、吉井良秀の指導の下、和歌300首を収めた「鈴の音」が発行されているが、没後昭和14(1939)年、吉井良秀の子息・良尚によって編纂された「波の音」が刊行された。よね直筆の作品のほか、師・良秀がよねに宛てた作品数首と共に昭和3(1928)年初秋、鈴木商店倒産に遭遇したよねを励ます"一三"なる名での一首が紹介されている。吉井良秀が主宰する歌会「清水社」同人・服部一三氏の作。
◇「幻の商社に実在したもの」島京子編 ~「黎明の女たち」より抜粋~ (たつみ第71号)
「たつみ第44号」にて紹介された 「黎明の女たち」は、昭和61(1986)年神戸新聞出版センターより出版された。明治・大正・昭和の黎明期を生きた8人の女性の生き様を女性作家たちが綴った"ひょうご女人列伝"。鈴木よねについては、神戸生まれでよね刀自ゆかりの神戸女子商業(中退)にも繋がる島京子が記述する。
冒頭、よねの孫・高畑千代子に取材し、彼女の祖母観を通してよねの人柄を紹介する。「祖母は、元々平凡な女性で、今風の女実業家や女社長的では絶対ありませんでした。全て番頭の金子さんと柳田さんを信頼し、会社のことは知りませんでした。」と肉親ならではの真実が感じられたと記している。(詳細は、関連リンクをご覧ください。)
◇玉岡かおる著 新刊「お家さん」の紹介 (たつみ第71号)
平成19(2007)年、新潮社より出版され話題となった玉岡かおる原作の「お家さん」を紹介する。
大正から昭和の初め、日本一の年商でその名を世界に知らしめた鈴木商店。巨大商社へ急成長した鈴木商店のトップには、「お家さん」と呼ばれる一人の女性が君臨した。日本近代の黎明期に、企業戦士として生きた男たちと、彼らを支えた伝説の女の感動大河小説と評判になった。(詳細は、関連リンクをご覧ください。)
*同小説は、平成20(2008)年第25回織田作之助賞を受賞し、玉岡かおるの代表作のひとつとなり、同氏は一躍全国的な人気作家となった。また同小説は、平成26(2014)年2月舞台化、同年5月テレビドラマ化、さらに令和元(2019)年5月舞台化の再演が相次いで実現した。
◇「経済野話」金子直吉著(その二) (たつみ第71号)
金子直吉が日頃から日本の経済界の実情などについて考えたことを 側近による 口述筆記形式により金子直吉名で刊行された唯一の著書「経済野話」の連載として、本号では全9章のうち、第1章「経済史眼の必要」を紹介する。
古今東西の名将を例に挙げ、その成功、失敗の原因は、経済観念即ち"経済史眼"を有していたか否かだと説く。(詳細は、関連リンクをご覧ください。)
◇「今に生きる幻の巨大商社」神戸新聞より (たつみ第71号)
平成13(2001)年12月~平成14(2002)年6月まで神戸新聞に連載された「熱き風ーひょうご経済小説の舞台」の第3回は、"今に生きる幻の巨大商社"と題し、神戸を舞台に世界を席巻した鈴木商店の興亡を描いた城山三郎の「鼠ー鈴木商店焼打ち事件ー」にスポットライトを当てる。
エネルギーに満ち溢れた当時の神戸を舞台に、生涯攻めの姿勢を崩さなかった金子直吉の一途さは現代に繋がっている。(詳細は、関連リンクをご覧ください。)
◇「鈴木商店のこと」宮田義清 (日商岩井社友会報より転載)(たつみ第71号)
金子直吉の故郷・高知で育ち、自身の父親および叔父が鈴木商店に籍を置いていた宮田義清氏(元日商岩井理事)が鈴木商店について日商岩井社友会報に投稿した記事を転載して紹介。(転載記事の投稿者名が宮田義晴とあるのは誤り。)
平成19(2007)年3月、作家城山三郎の訃報に接し、代表作「鼠」を再び読み直したことから自身の感想を交えながら、改めて鈴木商店の軌跡を振り返る。
「鈴木商店は、過剰投資や経営方策の行き過ぎで破綻したのではない。ましてや世に云う放漫経営による破綻とは類を異にする。」と強い表現で締め括る。(詳細は、下記の関連リンクをご覧ください。)
◇「辰巳会だより」(詳細は、関連リンクをご覧ください。)
〇全国大会 平成19(2007)年5月24日 於生田神社会館 参加者31名
〇本部新年例会 平成19年1月19日 於神戸・第一樓 参加者25名
〇本部秋季例会 平成19年10月16日 於ルミナス神戸2 参加者26名
〇東京支部新年例会 平成19年1月25日 於東京会館 参加者16名
〇東京支部春の例会 平成19年6月7日 於帝国ホテル・なだ万 参加者14名
〇東京支部秋の例会 平成19年10月25日 於ざくろ京橋店 参加者17名
◇「辰巳会会員便り」(詳細は、関連リンクをご覧ください。)