「神戸港と神戸文化の企画展」の記念講演会で、NPO法人神戸外国人居留地研究会理事長の神木哲男氏が講演されました。
2017.9.12.
神戸市主催の「神戸港と神戸文化の企画展」の開催期間中、当記念館では計6回の鈴木商店の研究者・関係者の皆様による講演会を予定しています。その第5回講演会として、NPO法人神戸外国人居留地研究会理事長の神木哲男氏が講演されましたのでご紹介します。
【神木哲男氏 講演概要】
■日時 :平成29年9月9日(土) 14:00~15:00
■場所 :デザイン・クリエイティブセンター神戸(通称:KIITO) 303号室
■主催 :神戸市(みなと総局技術部計画課)
■演題 :「居留地貿易と鈴木商店」
【神木哲男氏のプロフィール】
昭和9年生まれ。昭和34年神戸大学経済学部卒業。経済学博士。昭和53年同教授、経済学部長、副学長を歴任。神戸大学名誉教授。平成10年中京大学経済学部教授、奈良県立大学学長を歴任。社会経済史学会顧問、NPO法人神戸外国人居留地研究会理事長を務める。兵庫県文化賞(平成27年)、神戸市文化賞(平成28年)受賞。著書に「日本中世商品流通史論」、「神戸居留地の3/4世紀」、「歴史海道のターミナル―兵庫の津の物語―」、「神戸と居留地―多文化共生都市の原像―」など多数。
神戸開港から間もない明治7(1874)年、(初代)鈴木岩治郎は大阪の砂糖商「辰巳屋」の暖簾分けにより神戸弁天浜に洋糖引取商(輸入商)の鈴木商店を創業します。(商標は「カネ辰」) 当時の貿易は、輸出は日本人商人(売込商)が居留地の外国商人に商品を持ち込み、輸入は日本人商人(引取商)が外国商人から商品を引き取るという方法で行われ、主導権は外国商人に握られていました。
居留地貿易の仕組み、居留地貿易の主要商品の一つである砂糖の種類・歴史、砂糖の引取商(輸入商)としての鈴木商店の活躍、金子直吉による樟脳先物売りの失敗、女店主・鈴木よね、大番頭・金子直吉体制の成立、鈴木商店の台湾進出、鈴木商店の直貿易実現等による総合商社への道程など、神戸外国人居留地研究の第一人者である神木氏により、居留地貿易時代の鈴木商店の活動を中心に解説がなされました。
講演の途中、金子直吉が外国商人相手に樟脳先物売りで大失敗をし、自ら切腹覚悟で事態の収拾に当たったくだりについて、神木氏ご自身が小説風にまとめられた解説をナレーターの方が朗読されました。これにより参加者は、的確な情報入手が極めて重要であることを身を以て体得した当時の金子の心境を、リアルに感じ取ることができました。
当日は定員が約90名の会場が満席となり、参加者は同氏の誰にでも分かりやすく、時にユーモアを交えた講演を熱心に聞き入り、大好評でした。
最終回となる第6回講演会は11月11日(土)、元NHK大阪局報道部記者、元神戸大学文学部非常勤講師 大塚 融氏よる講演(演題:「金子直吉と神戸高商出身者」)が予定されていますのでご期待下さい。
下記の講演資料も合わせご覧下さい。