鈴木商店のユニークな規定シリーズ③「本家」についてご説明します。

2015.10.28.

PA083881 例規集「本家」.jpg鈴木商店「現行例規集」は全10編にて構成されています。第2編は「本家」として鈴木家に関わる規定が定められています。「本家参趨方の件」、「本家贈与品に関する件」、「お家様写真贈与の件」および「本家慶弔金に関する件」の各通知は、大正8(1919)年から大正9(1920)年に出された大家族主義の鈴木商店特有の規定と云えます。

「本家参趨方の件」では、次に該当する者は本家(鈴木家)に挨拶に趨くほか、盆正月は勿論その他随時庶務課に申し出たうえなるべく本家にご挨拶に伺うようにとの通達です。 1.新たに採用された店員(妻帯者はなるべく妻同伴のこと) 2.欧米、東洋方面および植民地へ転勤または出張する者、帰朝した者(妻帯同者は妻同伴にて参趨すること。妻のみ出発または帰朝の場合は妻単独で参趨のこと) 3.神戸および近辺(鳴尾、大阪を含む)より他へ転出する者、他地区より神戸および近辺に転入した者 4.神戸および近辺に在勤する店員が結婚したとき(妻同伴のこと) 5.各地に在勤する者で参趨したことのない店員が神戸および近辺に出張したとき                                          お家さんができるだけ多くの社員と直接触れ合うことを望んだことが良く理解できます。

「本家贈与品に関する件」では、妻同伴で本家に参趨する場合、本家より紋服(家紋をつけた礼装用の和服)を贈与されることが定められています。

「お家様写真贈与の件」では、社員となって1年を経過した妻帯者には所属主任を通じ申請すれば本家よりお家様の写真を贈与されると通達されています。

こうした規定は鈴木商店がお家さんを中心とした大家族主義を象徴するものと云えるでしょう。

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