鈴木商店研究書「鈴木商店の経営破綻」が発刊されました。
2017.9.14.
この度、日本経済評論社より「鈴木商店の経営破綻 ~横浜正金銀行から見た一側面~」が発刊されました。著者は、東京大学名誉教授で日本経済の専門家・武田晴人氏。
鈴木商店の経営実態を鈴木商店の準主力銀行・横浜正金銀行の取引資料、調査報告などの銀行資料から読み解き、鈴木商店の栄光と挫折の核心に迫る研究書です。
鈴木商店の研究書としては、神戸大学教授・故桂芳男氏の「総合商社の源流 鈴木商店」がありますが、武田晴人氏は銀行資料を通じて、新たな手法による鈴木商店の分析を試みています。
武田晴人氏は、本書の"はじめに"において鈴木商店の経営実態について、「本書で試みようとしているのは、状況の変化に対する反応が個々の経済主体で異なり、進行中の変化に対処する方策の選択も個性的であることが、相対する取引関係のなかで、どのような物語を紡ぎ出してきたのかを再現することである」として、東京大学が「横浜正金銀行」の継承銀行となった東京三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)より2000年に学術資料として寄贈を受けた横浜正金銀行資料を綿密に検証・分析して本書にまとめ上げています。
◇本書について
書名:鈴木商店の経営破綻 横浜正金銀行から見た一側面
<目次>
はじめに
第1章 冒険的拡大
1.帝国興信所の調査書による鈴木商店の概況報告
2.投機的な取引拡張
第2章 金融難の発覚
1.大連における特産物取引の失敗と信用限度額設定
2.鈴木商店による差し入れ担保の粉飾
3.一九二〇年恐慌前後の状況とその後の債権圧縮整理
第3章 整理着手への逡巡
1.石井定七商店破綻による金融動揺の影響
2.大連での不正の再発
3.神戸支店の検査
第4章 不良債権回収案の決定
1.合名会社鈴木商店と株式会社鈴木商店の分立
2.整理案の策定と台湾銀行救済問題
3.震災後の整理案の確定
第5章 整理実行
1.固定貸整理の実行
2.高田商会破綻と金融不安
3.整理勘定の増額と利下げ
第6章 経営破綻と回収
1.整理回収期の鈴木商店
2.破綻前夜――日本製粉問題と年末資金の逼迫
3.鈴木商店の破綻と破綻後の整理
おわりに
あとがき
著者:武田晴人 (東京大学名誉教授、経済学博士(東京大学))
発行所:株式会社 日本経済評論社 東京都千代田区神田神保町3-2 TEL 03-3230-1661 FAX 03-3265-2993
発行日:2017年9月13日
定価:4,800円+税