「神戸発祥の総合商社の源流・鈴木商店を知る」勉強会で、当記念館の編集副委員長・小宮由次氏が講師を務めました。

2018.10.30.

P1060658.jpgこの度、鈴木商店関係書簡を題材にした「神戸発祥の総合商社の源流・鈴木商店を知る」第2回勉強会が開催されましたのでご紹介します。

今回は、金子直吉の気迫に満ちた6メートル余りにも及ぶ長文の書簡「天下三分の宣誓書」(現在、太陽鉱工が神戸市立博物館に寄託しています)を取り上げ、日商岩井(現・双日)のOBで当記念館の編集副委員長・小宮由次氏がこの書簡のキーポイントとなる12のフレーズについて、金子の意図するところ、当時の鈴木商店の活動状況、時代背景などを中心にきめ細かく解説しました。
                                                           P1020379.JPG【第2回勉強会 概要】
日時  平成30年10月27日(土) 14:00~15:30

場所  神戸ポートオアシス5階 502会議室(神戸市中央区新港町5番2号)

講師  小宮由次(鈴木商店記念館編集副委員長)

主催  神戸市(みなと総局 計画課 港湾計画課)


テーマ 「天下三分の宣誓書」から読み取れるもの ~関係書簡より鈴木商店の実像に迫る~

第一次世界大戦の勃発(大正3(1914)年7月)に伴う商品価格の高騰を見越した鈴木商店は同年11月、全ての商品・船舶に対する一斉買いを敢行し、莫大な利益を上げました。

この書簡はその一年後に書かれたもので、金子直吉が自身の後継者と認める高畑誠一に並々ならぬ決意を披歴した内容となっており、大戦景気という好機を捉えて更なる大躍進を遂げていくにあたっての大号令でもありました。一方で、その熱情溢れる文面には、金子が冷静に戦況を見極め、具体的な行動を指示していることが読み取れます。

tennkasannbunnosennseisyo.png※上の画像は「天下三分の宣誓書」のハイライトともいうべきフレーズで、金子直吉が中国の「三国志演義」あるいは「三国志(正史)」を意識して記したことが想像できる『三井三菱を圧倒する()(しか)らざるも彼等(かれら)と並んで天下を三分(さんぶん)する()(これ)鈴木商店全員の理想とする所也(ところなり)』が記されている部分です。

勉強会は、主催者である神戸市みなと総局 計画部 港湾計画課・田中謙次係長の司会で始まり、小宮氏による勉強会では、前記12のフレーズについて参加者の皆様に音読していただきながら進めでまいりました。これにより皆様には、書簡の内容をよりリアルに感じ取っていただけたように思います。

また、今年高畑誠一のご親族宅の遺品の中から新たに発見され、神戸新聞でも紹介されました、もう一つの「天下三分の宣誓書」にまつわる事実関係や数々の疑問点についても説明がなされました。

金子直吉の多くの書簡や俳句などの筆跡や筆勢などから判断しますと、真筆は神戸市立博物館に寄託されている書簡のようにも思えますが、当記念館といたしましては、最終的には正式な鑑定が必要と考えています。

P10906072.JPG当日は、満席となる70名余(関係者を含む)の方の参加をいただき、綿密な調査に裏打ちされた解説やエピソードに熱心に聞き入り、配布された書簡(写し)を熱心に見入る姿も数多く見られ、第2回勉強会は大好評のうちに終了しました。

第3回勉強会(鈴木商店関係書簡から鈴木商店の実像に迫る)は平成31年1月26日(土)、14:00~15:30、当記念館の編集副委員長・小宮由次氏による勉強会(テーマ:「関門調査による彦島活用の件」「再生樟脳契約継続の件」「大連支店長平高を張作霖に紹介」ほか)を予定しています。

第3回講演会は12月15日(土)14:00~15:00、北九州市門司麦酒煉瓦館館長、九州大学大学文書館協力研究員・博士(工学)・北九州市(仮称)平和資料館担当学芸員・産業考古学会理事・国際産業遺産保存委員会(TICCIH)会員・特定非営利活動法人J-heritage理事・当記念館協力者の市原猛志氏による講演(演題:鈴木商店と関門コンビナートおよび筑豊炭鉱事業 ~北九州各地に現存する鈴木商店の産業遺産~)を予定しています。

講演会・勉強会とも、申込開始日などの詳細につきましては神戸市のホームページ等で随時ご確認下さい。

下記の関連資料、関連リンクも合わせご覧下さい。

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