須磨区歴史講演会で、当記念館の編集副委員長・小宮由次氏が講師を務めました。
2019.2.12.
神戸市須磨区役所では平成30年度が明治150年に当たることから、「明治150年記念」をテーマに明治時代・近代の須磨の魅力を発信すること、須磨の豊かな歴史資源とその魅力を須磨区民に広く伝えることを目的とした歴史講演会を企画されました。
そして、同区役所により現在当記念館が神戸市に協力して開催中の「神戸発祥の総合商社の源流・鈴木商店を知る」講演会および勉強会の内容を評価していただき、当記念館に講師派遣の依頼があったものです。
※上の写真は、須磨一の谷より大阪方面を望む。
【須磨区歴史講演会 概要】
■日時 平成31年2月10日(日) 13:30~15:00
■場所 須磨区役所4階多目的会議室(神戸市須磨区大黒町4-1-1)
■講師 小宮由次(鈴木商店記念館編集副委員長)
■主催 須磨区役所
■後援 須磨観光協会
■演題 鈴木商店と須磨
須磨には鈴木商店の絶頂期に女店主・鈴木よねが邸宅を、大番頭・金子直吉も自宅と別荘(一の谷山荘)を構えていました。金子の別荘には、妻の徳がホトトギス派の俳人(俳号は「せん女」)であったことから「ホトトギス」の主催者である高浜虚子を始めとする多くの同人が訪れています。
また、須磨の別荘地には鈴木商店と関わりのある財界人の別荘・別邸が建ち並んでいました。さらに、鈴木商店や金子直吉ゆかりの寺も点在し、須磨の地は鈴木商店にとって関係の深い場所でした。
今回の講演会は前評判も高く事前の申し込みが殺到し、早々に定員(300人)に達しました。当日の講演会は、まず始めに福本富夫須磨区長より開会のご挨拶があり、総務部まちづくり課事業推進係の浅野圭祐様の司会で始まりました。
参加者全員の席には予めレジュメが配布され、講演は中央のメインスクリーンにパワーポイント資料を表示しながら進められましたが、加えて講師の隣には"手話通訳者"が配置され、さらに講師の言葉がほぼリアルタイムに右横の小型スクリーンに表示されるなど、聴覚障害者の方への配慮が行き届いた対応が印象的でした。
講演内容の骨子は次のとおりですが、会場を埋め尽くした参加者は鈴木商店の概要・沿革、鈴木商店と須磨の地の浅からぬ関係等に関する小宮氏の解説や数々のエピソードに熱心に聞き入り、最後は金子直吉を中心にした鈴木商店の熱き男たちの舞台劇のDVDが上映され、講演会は大好評のうちに終了しました。
<講演内容の骨子>
1.鈴木商店について
・"幻の総合商社"鈴木商店とは
・金子直吉語録
・鈴木商店の沿革
・鈴木商店記念館について
※左の写真は、個人商店時代の鈴木商店(神戸市栄町通4丁目)です。
2.明治末期から大正期にかけての須磨の別荘地(須磨の別荘群と大正の財界人)
風光明美で温暖な須磨の地は明治時代以降、武庫離宮(現在の須磨離宮公園)が造営されるとともに、多くの財界人や華族たちが移り住み、別荘地として栄えました。
この別荘地には、次のような鈴木商店と関わりのある財界人の別荘・別邸がありました。
・松方幸次郎と金子直吉
・六十五銀行と神戸岡崎銀行(岡崎藤吉)
・国策会社「国際汽船」を設立した金子直吉、松方幸次郎、山下亀三郎
・瀧川燐寸(瀧川辨三、瀧川儀作)と帝国燐寸、東洋燐寸
※上の写真は、左から金子直吉、松方幸次郎、山下亀三郎、瀧川辨三です。
3.須磨と鈴木商店ゆかりの地
・鈴木よね邸
・金子直吉邸
・大本山須磨寺
・桂尾山勝福寺
※上の写真(左)は、須磨一の谷の分譲地案内図を見る金子直吉、(右)は広大な鈴木よね邸にて神戸女子商業の大勢の女子生徒たちに囲まれた"よね"(前列中央)です。
4.須磨"一の谷俳句山荘"とホトトギス派 俳人たち
・金子せん女(金子直吉の妻・徳)
・高浜虚子
・長谷川零余子
・永田竹の春
・田中四郎
・大町桂月
※左の写真は、金子せん女(左)と長谷川かな女(長谷川零余子の妻)
5.金子直吉を中心にした鈴木商店の男たちの舞台劇「彼の男 十字路に身を置かんとす」のDVD上映
平成30年7月4日(水)~15日(日)の間、新進女流脚本家・村田裕子氏の作・演出により、自身が主催する演劇集団 LiveUpCapsules(ライブアップカプセルズ)が小劇場「楽園」(東京都世田谷区下北沢)にて金子直吉を中心にした鈴木商店の男たちの舞台を熱演し、好評を博しました。
このDVDはショートバージョン版(約10分間)で、講演会の最後に大型スクリーンで上映されました。参加者の皆様には、男ばかり13人が登場するエネルギーがほとばしり出るような熱い舞台の一端を体験していただけたものと思います。
下記の関連資料、関連リンクも合わせご覧下さい。