エコノミスト・玉手義朗氏の著作「あの天才がなぜ転落」に"金子直吉"が取り上げられました。

2019.4.22.

anotennsaiga.PNGこの度、日経BP社より「あの天才がなぜ転落」~伝説の12人に学ぶ「失敗の本質」~ が発行され、"金子直吉"が取り上げられましたのでご紹介します。著者はエコノミスト、メディア評論家の玉手(たまて)(よし)(ろう)氏です。

本書は、かつて常人が真似できない劇的な人生を送った12人の「天才」たちの「成功の物語」であると同時に「失敗の物語」であり、彼らの人生をたどりながら「失敗の本質」を探ることを目的としています。

"金子直吉"については、失敗の本質は基本的には「(鈴木商店の)脆弱だったコーポレートガバナンスと財務基盤」と結論付け、次の観点からその本質を探っています。

①暴走を許した株主(株式非公開)と金融機関
・経営トップ(金子直吉)と右腕(高畑誠一)の見解の違い
・オーナー家(鈴木家)と銀行(台湾銀行)の責任とは

②短期融資に頼る危うさ
・鈴木商店の資金調達手段は、台湾銀行中心の短期融資

なお、本書で取り上げられたのは、金子直吉を含む次の12人です。

1. ニコラ・テスラ  ~エジソンに勝利した天才科学者の哀しい最期~
2.ホレス・ウェルズ  ~麻酔の発見者が詐欺師と歩んだ悲惨な末路~
3.ジョン・アウグスト・サッター  ~湧き出る黄金が農場主に災いを招く~
4.金子直吉  ~三菱、三井を超えた名参謀 巨大商社と共に沈む~

P1080894.JPG5.坪内寿夫  ~消えた資産は数千億円 幸之助と並んだ再建王~
6.山城屋和助  ~日本官民汚職の原点 政商が選んだ壮絶な最期~
7.ジョン・ロー  ~史上最大のバブルを仕掛けたギャンブルの奇才~
8.岩本栄之助  ~寄附で名を馳せた大阪商人 相場の罠に落ちる~
9.渡辺治右衛門  ~「世紀の失言」が大富豪を悲劇に巻きこむ~
10.松本重太郎  ~「西の渋沢栄一」が全財産を投げ出した事情~
11.薩摩治郎八  ~パリ社交界の花形「バロン薩摩」の最期は建売住宅~
12.ポール・ゴーギャン  ~孤高の天才画家は、脱サラに失敗した証券マン~  

玉手氏は本書の最後で次のように記しています。
「(12人)全員が人生を懸命に生き抜いた、真の天才であったということだ。・・・・ 天才たちはその最期において、結果を残すことはできなかった。しかし、それは生前に限ってのこと。金子直吉も松本重太郎も事業に失敗したが、築き上げた企業の多くは生き残り、日本経済の中枢を担っている。・・・・ 天才たちは人生の最期で仕事を失い、財産を失い、名声を失った。しかし、彼らは敗者だったのだろうか? そのようには思えない。かけがえのない遺産を残した彼らは、紛れもない人生の勝者であったと思うのである」

本書の"金子直吉"については当記念館の金子直三編集委員が直吉の親族(直吉の実弟・(くす)()の曾孫)として取材を受け、金子直吉の顔写真を提供しました。

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