国鉄在来線の栄枯盛衰を綴った「日本の鉄道路線」に"羽幌炭砿鉄道"が取り上げられました。
2019.10.5.
大手鉄道会社出身の鉄道写真家・山崎宏之氏がミネルヴァ書房(京都市)より刊行した「日本の鉄道路線」は、150年近くを経た旧国鉄在来線がどのような経緯を辿ってきたか、その歴史を振り返り、その歴史を通して、今はなき「国有鉄道」の存在意義を検証しようと試みる意欲的な著書です。
同書の編集は、児童書の編集・制作を多く手掛けている"こどもくらぶ"および"エヌ・アンド・エス企画"社が担当。この度、同社より要請があり、"築別炭砿"他、鈴木商店ゆかりの「羽幌炭砿鉄道」の写真を提供しました。
同書では、国鉄在来線を鉄道創成期から終戦を経て今日までの時代に見る栄枯盛衰(第1部)と、各地の国鉄在来線の歴史(第2部)を辿る二部構成から成り、第2部4章の北海道の鉄道編「天北を廻る天塩線四代の軌跡」では、北海道北西部(天塩国)と北東部(北見国)を指す"天北"の鉄道路線の軌跡を辿っています。
羽幌炭砿鉄道が運行する羽幌鉄道(築別~曙~築別炭砿)は、留萌(るもい)~羽幌間から築別まで延伸した国鉄「羽幌線」の築別駅と接続、これにより羽幌炭砿の石炭は、国鉄築別駅からは羽幌線で留萌に運ばれ、留萌港で専用船に積み替えられ本州方面に送られることになりました。
更に朱鞠内(しゅまりない)~羽幌間を結ぶ国鉄「名羽線」の建設では、曙~築別間は羽幌炭砿鉄道の線路を利用する計画が進められる等、国鉄在来線の拡張に羽幌炭砿鉄道が組み込まれる場面が記されています。
地方の国鉄在来線の建設の過程で接点があった私企業・羽幌炭砿鉄道という石炭運搬専用鉄道を鉄道路線の歴史の視点から捉えた点が印象的です。