鈴木商店記念館の編集協力者・市原猛志氏が新著「産業遺産巡礼<日本編>」を上梓されました。
2019.10.15.
当鈴木商店記念館の編集協力者で、鈴木商店ゆかりの北九州市門司麦酒煉瓦館・館長(非常勤)のほか、九州大学文書館協力研究員、北九州市総務局・平和資料館嘱託学芸員等を兼任する市原猛志氏による「産業遺産巡礼<日本編>」がこの程(2019年7月24日)、弦書房(福岡市)より出版されました。
市原氏が全国各地はもとより海外まで20年に及ぶ調査で訪れた産業遺産は、10,000件、写真データは35万点に及ぶと云われます。本書は、その中から国内の選りすぐりの212か所を600点を超える写真とともに紹介するガイドブック形式の巡礼記でもあります。
同氏ゆかりの「帝国麦酒門司工場・醸造棟」を含め主な産業遺産には以下の施設が紹介されています。
〇帝国麦酒門司工場醸造棟(北九州市門司区) 〇対馬オメガ局送信用鉄塔(長崎県対馬市) 〇碓氷峠煉瓦造アーチ橋梁群(群馬県安中市) 〇小岩井農場上丸牛舎(岩手県岩手郡雫石町 ) 〇とよま明治村 (宮城県登米市) 〇三井化学J工場(福岡県大牟田市;三井化学大牟田工場) 〇エルトゥール号殉難将士慰霊碑(和歌山県東牟婁郡串本町) 〇築地市場(東京都中央区築地)
同書には、工場や鉱山、土木、官庁、銀行、教会、住宅など通常は近代建築の枠内に捉えられるものも産業遺産として取り上げ、近代建築本とは異なるユニークな構成を成しています。
鉱滓レンガの研究家でもある同氏は、館長を務める北九州市麦酒煉瓦館(元・帝国麦酒門司工場)については、殊の外関心が高く、産業遺産に組み入れた経緯を述べています。即ち、煉瓦造・鉱滓煉瓦造り7階建ての醸造棟について、煉瓦造でこれだけの階層を有する建物は、日本においては稀有で、今日では建築基準法上、建てることは困難と云われています。
そのただずまい自体が産業遺産に相応しい、さらに原材料から製品を生み出すまでの輸送手段にはエネルギー省力化が図られ、意匠としての美しさと機能美を兼ね備えた施設と強調されています。