神戸市で「鈴木商店ゆかりのまち歩き」が開催されました。
2023.3.8.
来月(4月)、いよいよ鈴木商店の大番頭・金子直吉および社員たちが世界中を駆け巡り、次々と事業を起こしていく様子を描いた圧倒的熱量の舞台「彼の男 十字路に身を置かんとす」の再演が東京と神戸で始まります。(詳細については末尾の関連リンクをご覧下さい)
神戸市では、この舞台公演の時期に合わせて鈴木商店関連事業(*1)の展開が予定されており、まず3月5日(日)に「BE KOBE神戸の近現代史プロジェクト」(*2)の一環として、明治・大正期に日本経済・産業を牽引した鈴木商店をテーマに、同社の本店跡地等ゆかりの地を巡る「鈴木商店ゆかりのまち歩き」が開催されましたのでご紹介します。
(*1)①「神戸港と鈴木商店を語る会」(基調講演、パネルディスカッション)、②「鈴木商店ゆかりのまち歩き」、③「鈴木商店ゆかりの資料・図書の展示」(鈴木商店に関する貴重な資料・関連図書の紹介など。於: 神戸市立博物館、神戸市立三宮図書館)
(*2)神戸市の若手職員を中心とした有志で構成。ホームページ「BE KOBE 神戸の近現代史」を通じて市民に神戸の歴史を分かりやすく発信し、神戸への愛着と誇りを醸成することを目指して活動しておられます。
【鈴木商店ゆかりのまち歩き 概要】
■日 時: 令和5(2023)年3月5日(日) 13:00~15:30
■事業名: 鈴木商店ゆかりのまち歩き
■目 的: 「BE KOBE 神戸の近現代史」ホームページの開設を受けて、明治・大正期に日本経済・産業を
牽引した鈴木商店をテーマに、神戸旧居留地、同社の本店跡地等ゆかりの地を巡る。
■コース: 神戸市役所本庁舎 ~ 旧居留地 ~海岸通の鈴木商店本店跡 ~ 神戸市立博物館~ 旧居留地 ~ 栄
町通3丁目の鈴木商店本店跡 ~ 栄町通4丁目の鈴木商店本店跡 ~ 弁天浜・創業時の鈴木商店
跡近く ~ 東川崎町(現・中央区栄町通7丁目)の鈴木商店本店跡(鈴木商店モニュメント)
■参加者: 申し込み先着の30名
■主 催: 神戸市(行財政局 業務改革課)
■引率・解説: 鈴木商店記念館の編集委員2名
好天に恵まれた当日、参加者の皆様には神戸市役所本庁舎の1階ロビーにご参集いただきました。
まず、主催者である神戸市よりご挨拶と配布資料(「ガイドマップ」[神戸市作成]、「ルートガイド」[当記念館作成]、「神戸旧居留地と鈴木商店」[当記念館作成]、「彼の男 十字路に身を置かんとす」のチラシ、歴史マンガ「総合商社 双日 未来を創造した先駆者たち」第3巻躍動 等)の確認が行われました。
続いて、ガイドを務める当記念館の小宮編集委員長よりご挨拶があり、同じくガイドを務める金子編集委員が紹介され、さっそく旧居留地に向けて出発しました。
旧居留地では、ルートガイドの順路に沿ってヘリア商会跡(92番館)からスタートし、小宮編集委員長の解説により、金子直吉が丁稚時代に訪れた商館が強い関心を示したことがきっかけで、薄荷が鈴木商店創業時の主要品目の一つになったというラスペ商会跡(91、77番館)、金子直吉が樟脳の空売り(先物取引)の失敗で巨額の損失を出し、解決のために短刀を懐にして "ハラキリ" 覚悟で交渉に訪れたというシモン・エバース商会跡(102、101番館)、鈴木商店が甜菜糖を輸入し魚油を輸出していたイリス商会跡(12番館)、海岸通の鈴木商店本店(グッチョー商会・レンス商会)が存在していた10番館をはじめ、かつて鈴木商店と関係があった外国商館跡等を順次巡っていきました。
途中、神戸市立博物館(13、14,23,24番館)を訪れ、常設展示室(1階)の海岸通の鈴木商店本店だった建物も確認できる旧居留地の精緻なジオラマ(明治中期のもの・昭和初期のもの)ほかを見学しました。
神戸市立博物館の外観と鈴木商店本店だった建物が確認できるジオラマ
※旧居留地のゆかりの各ポイントの詳細につきましては、末尾関連資料のルートガイドをご覧下さい。
旧居留地を出たところで解説を金子編集委員に代わり、まずは、かつて栄町通4丁目の鈴木商店(個人商店時代)が存在していた "乙仲通り" の東端にて、個人商店時代の跡地の正確な場所等について説明がなされました。
※この度の "まち歩き" に先立ち、神戸市行財政局業務改革課より栄町通4丁目の鈴木商店跡地に関する貴重な資料をご提供いただき、長年不明確であった同店の場所が特定できたことは、当記念館にとって大きな発見でした。
栄町通4丁目の鈴木商店と "乙仲通" の由来が記された案内板
続いて、明治中期以降には通りの両側に鈴木商店本店をはじめ横浜正金銀行、三井銀行、三十八銀行、三十四銀行、北浜銀行、明治火災保険、岡崎汽船などの重厚な建物が建ち並び、「東洋のウォール街」と呼ばれるほどの繁栄を誇っていた栄町通に入りました。
ここからは、栄町通3丁目の鈴木商店本店跡(合名会社時代)、栄町通4丁目の鈴木商店跡(個人商店時代)、弁天浜・創業時の鈴木商店跡、東川崎町の鈴木商店本店跡(鈴木商店モニュメント)の順にゆかりの地を巡りました。
左の画像は、大正7年の米騒動による焼き打ちで焼失した東川崎町の鈴木商店本店
※栄町通等のゆかりの各ポイントにつきましても、末尾関連資料のルートガイドをご覧下さい。
最後のポイント「鈴木商店モニュメント」の前では、"まち歩き" の終了に当たり金子編集委員より参加者の皆様に対しお礼の言葉が述べられました。
続いて、当記念館の特別協力者でもある双日の小林正幸氏より、モニュメント台座のレンガの由来とあわせて、4月から始まる舞台「彼の男 十字路に身を置かんとす」の再演および一連の鈴木商店関連事業について説明がなされました。
最後に、主催者である神戸市行財政局業務改革課の伊藤氏よりご挨拶があり、参加者の皆様は三々五々帰路につかれました。
「鈴木商店モニュメント」の前にて "まち歩き" 終了のご挨拶
参加者の皆様は最後まで当記念館の編集委員の解説に熱心に耳を傾けておられ、「鈴木商店ゆかりのまち歩き」は好評の内に無事終了しました。この度の事業を通じて、鈴木商店について少しでも理解を深めていただくことが出来たなら幸いです。
下記の関連資料、関連リンクもあわせご覧下さい。