鈴木よねの日記「日用ひかえ」シリーズ②「褒章受章の日」をご紹介します。

2024.11.15.

 DSC_0460.JPG鈴木よね - コピー.pngお家さん・鈴木よねは、二度褒章を受章しています。「緑綬褒章」と「紺綬褒章」の二種類の褒章です。(写真は緑綬褒章を佩用(はいよう;着用すること)した鈴木よね)

 "褒章"は、社会や公共の福祉・文化などに貢献した者を顕彰するため天皇から授与され、顕彰の対象となる事績により褒章条例に規定される六種類の褒章から授与されます。

 大正4(1915)年3月7日に授与された「緑綬褒章」については、同年3月19日付けの"日用ひかえ"に次のような記述が残されています。(以下書き下しを示す)

 ◇「緑綬褒章 3月19日  緑寿章 東京官報に3月7日に下され賜ふ事 神戸市長に御たっ(達)し有り24日午前11時によね、岩治郎、藤田、岩蔵を友(供)にして3人行き頂戴して店迄帰り、夫々より市田(写真館)へ参り写真をとり、また夫れよりお墓に参り帰宅する

 褒章受章後の同年4月25日付けの"日用ひかえ"には、鈴木商店内輪の褒章受章祝いが須磨の別邸にて開かれたことが記されています。(以下書き下し)

 ◇「4月25日 須磨二ノ谷にて緑綬褒章祝いと店方の遵道会とを兼ねて本店、大坂(阪)支店 店員と家内、子供、来客高信、中村、西川 何れもご夫婦にてお越しを被下候(くだされ候)模擬店に折詰菓子 紀年(記念)の盃を皆様に差し上げる事

 スクリーンショット (271).jpg緑綬褒章&紺綬褒章.jpgなお、褒章条例によれば、「緑綬褒章」は長年にわたり社会に奉仕する活動に従事し、顕著な実績を挙げたとして授与されたものです。

 また、鈴木よねは、米価騰貴の際、救済のため多額の寄付(10,000円)をしたこと(大正7年)から大正9(1920)年、紺綬褒章が授与されましたが、「日用ひかえ)」には、簡単に以下の記述が残されています。(以下書き下し) 

 ◇「大正9年4月16日 紺綬褒章市役所をへて是をいただき

 褒章条例には、紺綬褒章は、"公益のため私財を寄付したことに対する授与"と規定されています。鈴木よねは、女子への商業教育の普及のため公立商業学校「神戸女子商業」の設立に多額の寄付をしたこと(大正6年)や鈴木商店とつながりのある神戸高等商業学校(神戸高商 )に度々、多額の奨学金を寄付したこと(大正6,7年)なども評価されたものと思われます。

 

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