金子直吉の著書「経済野話」シリーズ ②「国字の経済的改良」をご紹介します。
2016.5.5.
金子直吉は、経済野話のなかでユニークな国字国語改良論を展開しています。一つは横書きにすること。そして日本文と英文を混在させた文章を用いること。さらに「御座候得共」とか「なかるべからず」というような表現を改めることを提案します。
日本文と英文の混在文については、大正12(1923)年の大阪毎日新聞に次のような記事があったと「神戸謎解き散歩」(大国正美 編著・新人物文庫)に紹介されています。
「例えば、"船を傭(やと)う"という意味を"Charterす"と書き、この英字に傭船(ようせん)と振りかなをつけるのである。こうしておけば英語を知っている者は一目瞭然、知らざるも振りかなで助かり、知らず知らずの間に英語と親友になれる」というものです。
これらの金子の主張はかなり突飛なものに映ったらしいと伝えています。今では横書きが主流になり、日常会話でも新聞や雑誌などでもカタカナ言葉が氾濫し、日本語、英語、中国語など複数の言語を併記した標識が増えています。およそ100年経って、ようやく金子の発想に追いつく時代になったと云えるでしょう。
シリーズ② 「国字の経済的改良」は、以下の関連ページをご覧ください。 現代表記(抄訳)および原文(横書き表記)をご覧ください。