⑤旭石油(現・日本グリース)

地の利を生かした石油ビジネスの拠点

鈴木商店は、大正7(1918)年に帝国石油を買収し、その後、旭石油と合併させることで鈴木商店系列となる。彦島は、地理的なメリットもあり、同社にとって重要拠点であった。当時彦島の工場では軽油やマシン油を製造しており、「鑛油需給に活躍し、石油時代を現出せんとしている(『栄える彦島』より)と称される、先進的な工場であった。鈴木商店破たん後は、長崎英造により旭石油は再建、軌道に乗ると昭和13(1938)年に彦島の拠点も拡充した。

旭石油に関連する煉瓦造の施設が彦島の海岸沿いに現存する。これは戦時中に早山・新津・旭の三石油会社が合併して出来た昭和石油株式会社の彦島油槽所倉庫として使用されていたものを昭和45(1970)年に日本グリースが譲り受けたもので、現在日本グリース下関工場の施設として使用され続けている。この日本グリースも旭石油に関連した企業であり、彦島での鈴木商店の系譜を今に伝えている。





  • 旭石油時代の煉瓦造の建物

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