⑤シアトル
木材(北米材)、紙・パルプビジネスの一大拠点
シアトル市は、ワシントン州北西部キング郡にあり、同州最大の都市、米国太平洋西部最大の都市でもある。森林資源が豊富で木材工業、紙、パルプ工業が発展。また古くから貿易港、軍港としても栄え、東洋貿易の中継地点でもあった。
戦後、ボーイング社が誕生し、シアトルは大きく変貌した。IT関連産業や数多くの優良企業が生まれた。ボーイングの他、マイクロソフト、アマゾン、スターバックス、タリーズコーヒー、シアトルベストコーヒー等々今日世界的に有名な大企業誕生の地でもある。また、古くから軍需、民需の造船業も盛ん。
鈴木商店シアトル出張所は、シアトル市内パイオニアス クエア地区のオフィスビル「デクスター・ホートンビル」にあった。1892年に建築された5階建て石積み建築のデクスターホートンビルは、シアトルの中央ビジネス地区で最も権威のあるオフィスビルの1つで、1920年代後半、メイナードビルに名称が変更された。
大正6(1917)年から大正11(1922)年までシアトル出張所に駐在した落合豊一(後の日商の第三代社長)は、穀物ビジネスに多くの成果を残した。取り分け大正9(1920)年、シアトル出張所長に任命されるとシアトルからオレゴン州・ポートランドに出張所を移転。世界的穀物取引所「シカゴ商品取引所」(Chicago Board of Trade)に日本人として最初の会員となった。また、従来は袋詰め輸送が常識であった穀物輸出入に世界で初めてバラ積み方式を採用し、その後の世界穀物貿易に大いに寄与した