③蘭陽発電所
製糖工場向け電力供給のために計画された水力発電所
台湾電力公司・蘭陽発電廠(宜蘭県三星郷天山村電力路25号)は、鈴木商店の宜蘭電気を起源とする水力発電所である。
創業時からの天埤発電所と円山発電所の2か所の発電所(unit)から成り、総出力26,500KWの小規模ながら、別の火力発電所と併せて宜蘭地区の農家30,000戸に電力を供給している。
鈴木商店時代、宜蘭地区に製脳事業、製糖事業を興し、これらの工場並びに近郊の農家向け電力供給のため、宜蘭電気による発電計画を進めた。
明治42(1909)年鈴木商店を中心に設立された宜蘭電気は、宜蘭殖産と関係があった台南製糖・二結製糖所向け電力供給のため水力発電を計画したが、資金的な問題から大正10(1921)年、宜蘭電気のほか台南製糖、台湾電力(株)*3社により台湾電気興業を設立し、翌年陽蘭発電所による送電が開始された。
鈴木破たん後、同発電所は台南製糖、台湾電力に引き継がれ、戦後は台湾電力公司の経営となって現在に至っている。現在の蘭陽発電廠では、台湾電気興業時代の大正10(1921)年に発電所建設に着工した時期を同社の創業としている。
*台湾電力(株)は、大正8(1919)年7月に設立された。