②宜蘭設治記念館(旧宜蘭庁長官公邸)
30代にわたる歴代首長の公邸は歴史記念館に
宜蘭設治記念館は、明治39(1906)年宜蘭庁(後の宜蘭郡を経て宜蘭県)歴代首長の公邸として建設された木造建物を、1997年に資料館として一般公開されたもの。(所在地:宜蘭市旧城南路力行3巷3号)
同公邸は、和洋折衷建築の建物で、敷地面積は800坪、建坪は74坪、庭内にはクスノキの大木が植えられている。
宜蘭首長は、第1,2代は宜蘭支庁長、第3~7代は宜蘭庁長、第8~20代は宜蘭郡郡守と台湾での行政区分の変更に伴い首長の名称が変わってきた。第6代宜蘭庁長・小松吉久は、明治42(1909)年から大正9(1920)年まで11年間にわたって首 長を務めた後、鈴木商店系関係会社に転身した。終戦後、国民政府の下でも第21~30代宜蘭県長がこの公邸を使用して来た。
宜蘭設治記念館は、畳敷きの和室で構成され、宜蘭に関わる近代政治文物のほか蘭陽地域の歴史、写真等が展示されている。
なお、宜蘭設治記念館に隣接して旧・宜蘭農林学校長宿舎が遺されており「宜蘭文学館」として公開されている。当時の農林学校長の地位の高さが偲ばれる。さらに周辺には和風建築の職員宿舎が残されている。
宜蘭郊外の円山公園にあった宜蘭神社跡には、小松吉久が奉献した石柱が遺されている。