東京毛織・千住工場
東京毛織・千住工場は、「東京毛織物(株)」が前身。
◇所在地 東京府北豊島郡南千住町大字地方橋場535番地 (現・荒川区南千住8丁目) ◇目的事業 毛織物業 ◇創立年月日 明治39年11月25日 ◇資本金 200万円(内払込高70万円) ◇役員 (取締役) 日比谷平左衛門 渋沢篤二 高橋半兵衛 諸井恒平 鈴木潤一郎 (監査役) 大橋新太郎 山中麟之助 町田徳之助 (相談役) 渋沢栄一 ◇沿革 渋沢栄一、大倉喜八郎、日比谷平左衛門等による発起人総会開催(明治39(1906)年10月9日)された後、同年11月25日に東京商業会議所において創立総会が開かれ、「東京毛織物(株)」 が設立された。
同社の目的は、古毛織物を利用して下等毛織物を製織することにより、輸入を抑えることにあった。取締役互選の結果、当面社長は置かないこととした。
大正6(1917)年東京毛織物(株)は、 大倉喜八郎が社長を務める「東京製絨(株)」、鈴木商店系の「東洋毛織(旧・後藤毛織)」と統合して「東京毛織(株)」が誕生、本社を旧・東京毛織物に置き、同工場は東京毛織・千住工場となった。
なお、東京毛織物に隣接する南千住町(現・荒川区南千住6丁目)には官営工場・「千住製絨所」が操業していた。同工場は、明治政府の内務卿・大久保利通の指導により明治12(1879)年に操業開始した我が国最初の近代的毛織物工場で、軍服、各種官服類生地の国産化のため設立された。明治政府は、同時に民間毛織業を奨励し、東京毛織物ほかの事業者が誕生した。
「千住製絨所」は、戦後昭和20(1945)年に地元の大和毛織に売却されたが、その後の業績不振により昭和35(1960)年、操業停止となり、その歴史の幕を閉じた。